健康な歯は豊かな人生を楽しむために欠かせません。ずっと、おいしく食事をとり、笑顔で健康に過ごせるように、現代の歯科治療は、虫歯になってから「治療」するのではなく、病気をならないように努める「予防」が主流となっています。
歯科先進国であるスウェーデンも、国をあげて予防歯科に取り組んでおり、その結果、「世界で一番歯科疾患が少ない国」と言われるようになりました。
定期的に歯科医院でメインテナンスを受けている人の割合は、スウェーデンが約70%に対して、日本はたったの16%です。この違いは、80歳時点での平均残存歯数の差となって現れています。日本人の予防ケアの意識を高めていくことが、高齢になっても多くの歯を残すことにつながります。
目次
予防歯科とは?
予防歯科とは、虫歯や歯周病などになってからの治療ではなく、なる前の予防を大切にすることです。
歯とお口の健康を積極的に守るため、歯科医院での「プロケア(プロフェッショナルケア)」と、歯科医や歯科衛生士の指導に基づきご自宅で毎日行う「セルフケア」の両方で、「予防歯科」を実践しましょう。
予防歯科のメリット
1、虫歯・歯周病を予防できる
定期的に歯科医院で口腔内のチェックを受けることで、虫歯や歯周病を未然に防げる可能性が高くなり歯をより健康な状態に保つことにつながります。
2、治療費や期間面の負担が減る
定期検診で虫歯や歯周病を早期発見できるため、比較的軽い治療で改善が見込めます。進行した虫歯や歯周病の治療には高い費用がかかる場合がありますが、予防歯科に取り組んでいると治療費が少なく抑えられます。
また、定期検診を受けずに症状が進行した状態ではじめて歯科医院を訪れると、治療で数回にわたり通院する必要がありますが予防歯科を行っていると治療期間も短くて済みます。
3、清潔な口腔内環境が手に入る
定期的に歯科医院にて歯のクリーニングを行うことで、ご自宅での磨き残しや歯ブラシでは届かない部分の清掃、歯磨きでは除去が不可能な、バイオフィルムという細菌の塊をきれいに取り除くことができ、すっきりとして爽快な口腔内環境を実現することができます。
予防歯科はセルフケアとプロケアの両立で効果的に!
効果的な予防をするために必要なのは毎日自宅で行う「セルフケア」と定期的に歯科医院で行う「プロケア」の両立です。どちらか片方だけすればいいということではなく、うまく組み合わせ、両立することが理想とされています。
ご自宅で行うセルフケア
■ 予防の基本はご自分でのブラッシング
1日3回、時間をかけて丁寧にブラッシングしましょう。
また、歯ブラシは1ヶ月に1本交換するのが目安です。
毛先が開いてしまった歯ブラシでは歯にきちんと当たりません。
■ 歯を強くするフッ素配合の歯磨き剤
フッ素には歯を強くし、虫歯を予防する働きがあります。
フッ素配合濃度の高い歯磨き剤を使い、毎日のブラッシングをより効果的なものにしましょう。
■ 隅々まで磨けるデンタルフロス
歯の表面を磨く歯科グッズです。
歯ブラシでは届きにくい歯と歯の隙間まで汚れをきれいに取り除けます。
ブラッシング後に使用しましょう。
■ 仕上げに有効なデンタルリンス
ブラッシングの仕上げとして使うことで、口腔内の隅々まで殺菌します。
唾液の分泌が減ってしまう就寝前に使いましょう。
歯科医院で行うプロケア
■ 正しい磨き方がわかるブラッシング指導
患者様一人ひとりに合った正しいブラッシング方法や歯ブラシの選び方を丁寧にお教えします。
ご自宅でのセルフケアにお役立てください。
■ フッ素塗布
フッ素には歯質を強くし、歯の再石灰化を促す効果があります。
定期的に歯の表面に塗布することで、酸に溶けにくく、虫歯になりにくい歯にしていきます。
■ PMTC
専門器具を使ってきれいにする歯のクリーニングのことです。
専用機器を使用して歯と歯の隙間や歯周ポケットに潜むプラークや歯石をきれいに除去し、
仕上げにフッ素入りのペーストで歯をツルツルに磨きあげます。
PMTCは虫歯や歯周病の予防になるのはもちろん、
歯本来の白さを取り戻すことや口臭改善にもつながります。
■ 唾液検査
口腔内の細菌の種類や数を調べる検査で、結果をもとに
患者様一人ひとりに合った効果的な予防ケア方法をご提案します。
■ スケーリング(歯石取り)
専用機器を使用して、歯石を徹底的に除去します。
ブラッシングでは取れない歯石を取り除くことで、虫歯予防につなげます。
生涯にわたって自分の歯で食事や会話を楽しむために
治療をすれば確かに痛みなどの症状は治まりますが、元の健康な歯に戻すことはできません。
なぜなら、一度削った歯は二度と元通りにならないからです。美味しい食事とスムーズな会話を楽しむためにも、お口の健康維持には予防が何よりも大切です。そのためには、毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯科医院でのメインテナンスが欠かせません。
「最近歯医者に行っていないかも・・・」という方は一度歯科医院を受診して、健康な歯とお口でいるために、「予防歯科」をはじめましょう。