小児矯正とは、お子さまの歯や顎の成長を利用して歯並びの位置を調整したり、永久歯が生え揃うスペースを確保したりする治療のことです。
小児矯正は大人になってから行う矯正(成人矯正)とは異なり、強い力をかけて歯を動かすわけではないので、痛みも少なく、比較的短期間で治療が可能です。将来的に成人矯正を受けることになっても、抜歯を避けられる可能性が高まります。
お子さまにこんな癖があったら要注意!
人の癖にはいろいろありますが、お口や顎にいつも力がかかるようなクセは将来の噛み合わせや歯並びに悪影響を与えることがあります。お子さまに次のような癖がありましたら、なるべく早く直してあげましょう。
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- 指しゃぶり
- 頬杖
- 爪やタオルを噛む
- 舌で前歯を押す
- 口呼吸
- 丸飲み
お子さまの矯正治療が必要な理由
昨今、やわらかい食べ物が多くなり、あまり噛むことに困らなくなった現代人の食生活は、顎の成長にも影響を及ぼしています。成長しても顎が発達せず小さく尖ったような形になるので、歯が並ぶスペースが足りなくなり、歯並びや噛み合わせが乱れやすくなるのです。
歯並びが乱れていると見た目が悪いことが気になって、口元にコンプレックスを抱えてしまい、人前に出るのが苦手になったり、消極的になったりすることがあります。そのような精神的な影響だけでなく、歯並びの乱れているとブラッシングがしにくく、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。またクリアな発音を妨げたり、咀嚼に影響し消化器官に負担をかけたりと健やかな成長を妨げる可能性が高まります。歯並びの乱れは見た目が良くないだけでなく、口腔内や全身にさまざまな悪影響を及ぼします。
矯正をはじめるタイミング
お子さまのお口の状態は一人ひとり異なり、成長のスピードや生え替わりの時期も異なります。そのため小児歯科矯正治療の的確な開始時期は検査を行わなければ分かりません。ただ顎が大きく成長するのが7歳前後なのでその頃がひとつの目安です。効果的な時期に矯正治療をはじめるために、まず6歳頃に矯正治療に関する検診を受けることをおすすめします。
小児矯正は、乳歯と永久歯が混在している「第1期治療」と永久歯に生え替わったタイミングの「第2期治療」に分けられます。それぞれの期間によって、治療方法は異なります。
第1期治療(混合歯列期)
お子さまの顎の骨の成長を利用して、歯が並ぶ顎のスペースを広げるのが目的の治療です。治療は乳歯と永久歯が混在している時期に行います。
第2期治療(永久歯列期)
本格的な矯正装置を使用して、理想の位置に永久歯を動かして理想の位置に導くのを目的とした治療です。
どのような矯正方法があるの?
■ ダイナミックアプライアンス
下顎が奥に下がって出っ歯になっている症例に用いられて、下顎を前へ移動させます。
■ ムーシールド
舌や唇、ほっぺの力のつり合いが悪く受け口の症例に用いられます。舌を高い位置に保ち下顎が奥へ下がりやすくします。
■ タングガード
舌の力が強く、口の中から歯を押してしまい開いたままになっている開咬の症例に用いられます。舌が歯にあたって押してしまわないように止めて改善します。
■ 拡大床
顎が小さく歯がならべない症例に用いられて、顎を広げて歯が並ぶスペースをつくります。
お子さまの歯並びが気になったら歯医者へ相談してください
大切なお子さまの歯並びはどうか、まずはお父さん・お母さんの目で確かめてあげてください。
実際に、お子さまに矯正治療が必要なのか、そして必要な場合はいつからはじめれば良いのか、どんな矯正治療が良いのかなどは検査をしてみないと分かりませんが、歯並びは大人になる前の成長過程で直していくことが、ベストな選択です。お子さまが将来困らないように、矯正を検討してみてください。